生きたまま埋めるのはかわいそうだよ

シュールな世界観がいいね~って棒読みで言って

嘘日記

 今日は、とくに何もしなかった。携帯端末で他人が発信した生活に関する些細な情報を漫然と眺めて一日が終わろうとしている。

 僕は椅子から立ち上がると鍵だけ手に取って、家を出た。なにもかもが、おもしろくなかった。

 近くの公園ではいつものように若者が集まっている。彼らがどういう意図で集まっているのか、全くわからない。携帯端末に内蔵されたスピーカーから、音楽を流している。彼らは二十歳になっているとはとても思えない風貌だが、何人かは煙草を吸っている。安っぽい音の流行のラブソングが耳に入ってきて、「不良のようでも、不良らしいかっこいい音楽を見つけ出すことなんかまるで興味がない文化的素養のない集団なんだな」と思い自分を勇気づけた。

 集団に近寄っていくと、不審の目を向けてくる。僕は一人に殴りかかった。頬骨が拳に当たって物凄く痛い。胸倉をつかみ僕の右足で相手の左足を払う。倒れこんだ相手の顔面を何度か殴る。彼の仲間が事態の異常性に気づきはじめ、僕をどう処理しようかと、頭を働かせるが、答えが出るよりも先に僕は逃げ出す。

 家に帰るのは危ないと判断したので、漫画喫茶に泊まることにする。フロントで会計を済まし、案内された個室を見つけて入り一人きりになると、猛烈な徒労感が押し寄せてきた。

 翌朝、家に帰ると、母に怒られた。パンを焼き、液状のチョコレートをかけて食べる。おいしい。