生きたまま埋めるのはかわいそうだよ

シュールな世界観がいいね~って棒読みで言って

最近は暇だ、というかやるべきことを放棄して暇をつくるようにしている。

べつに人に会いたいとも思わない。暇を潰すためにひとさまの時間を奪うのが心苦しい。あと、人と話しているときだいたい脇汗をかいている。緊張で。

人に会うのも腰が重く、一人でやれることは大概やりつくしてしまい、何かいつもと違うことがしたいと思った。

というわけで、『鋼の錬金術師』という漫画を参考にして、ヒトを作ってみることにした。

作ったヒトなら、話をするにも緊張することはないだろう。造物主と被造物の関係だ。神視点からものを語れる。作った美少女型のヒトとヴィレッジヴァンガードに行って、「丸尾末広読んだことある?」「コーネリアスいいよね。フリッパーズ時代から好き」とか恥ずかしいことを言って承認を得ることもできる。

リンとか亜鉛とかケイ素とかを親のカードで買って(四桁の暗証番号は車のナンバーと同じだった、楽勝)、錬成陣をかいて、その上に材料を載せた。

『鋼の~』では血液を混ぜていたが、自分の指の先ですら切るのが嫌だったので、その場でXVIDEOSを見ながらしこることにした。立ってしこるのはなかなか難しかったが、無事射精に成功。なんなら血液よりも純度の高い遺伝情報なんじゃないか。

むかしから姉が欲しいなあと思っていたので、錬成陣に『鋼の~』と一部異なったアレンジを加えた。母親は健在だからもう一人できても困る。

これで姉が出来るかなあ。

結果から言うと、できなかった。ちょっと考えもしなかったものができた。

まず、だいいちにめちゃくちゃ臭い。信じられないくらい臭い。たぶんこれは精液をくわえたことが裏目に出たのだろう。精液のすっぱい感を120倍ぐらいしたみたいな臭さ、あとそれに部屋干ししてちゃんと乾いてない人の服と、プールのロッカールームのいろんな人がビチャビチャの足のまま踏み入れた床が混ざったようなかんじ。

「うーわ最低」と思わず「おとなしい女の子にセクハラして泣かせた主人公を咎めるいつも当たりが強い(けどほんとは主人公が好きな)幼馴染」みたいな声がでてしまった。

姿かたちに関して言うと、「完全にオレ」である。最悪だ。なにも面白くない。ただ生きているだけで憂鬱なのに、うっとうしさが二倍になる。それどころか互いが互いの悪い所を反射しあって、合わせ鏡みたいに連なり、ただ良くないものが増幅されていくのではないか。

髪が長く全裸である。

とりあえず風呂に入れようとしたが、「いま生まれるのにだいぶ体力もってかれたから、風呂にはいる気分じゃない」といわれた。

オレみたいな言い方だ。

しかし強要すると、反抗する根性も見せず流されるように風呂にはいった。

においが幾分かやわらいだので、話し合うことにした。

「どうする?」とオレ。

「なんでもいいよ。おまえに任せる」ともう一人のオレ。

まるで「優柔不断で選択の責任をとりたくない奴同士が飲みに行こうってなったときの店選び」みたいなやりとりになって「じゃあ鳥貴族行くか」と言いそうになった。

途方に暮れる。